スピーキング

接客英語が本番で止まる理由と、場面別リハーサルのやり方

Aplora 編集部10分 読了
接客英語が本番で止まる理由と、場面別リハーサルのやり方

接客業の現場で英語が必要になる瞬間は、勉強の時間とはまったく別物です。目の前にお客様がいて、後ろに列があって、厨房からは呼ばれている。そんな状況で必要なのはテスト対策ではなく、明日のシフトを乗り切る言葉です。接客英語のフレーズ集はすでに山ほどありますが、現場で止まるのはフレーズを知らないからではありません。この記事では、飲食店・レジ・ホテルフロントの場面ごとに、そのまま使える英語と、お客様の返事が想定外だったときの立て直し方をまとめます。

なぜフレーズを覚えても本番で止まる?

止まるのは、こちらが言った直後ではなく、お客様が答えた直後だからです。“Do you need a bag?” は言えます。問題はそのあと、“Actually, can you put the cold stuff in a separate one?” と返ってきた瞬間です。台本にない一行が入った途端、覚えたはずのフレーズの並びが崩れて、頭が真っ白になる。フレーズ集はこの部分を教えてくれません。

だから練習の単位を変えてください。覚えるのは「一言」ではなく「往復」です。自分の一言に対して、お客様が返しそうな返事を3つ想定する。そのうち2つは想定外にする。そこまでを声に出してやっておけば、本番で崩れる幅がかなり狭くなります。フレーズを見て分かることと、口から出ることが別のスキルである理由は 理解はできるのに話せない で詳しく書いています。

まず、場面ごとの一言を一覧で

覚える順番に迷ったら、この表の上から仕込んでください。使用頻度の高い順です。

場面そのまま使える英語
出迎え・人数確認”Hi. How many people?”
待ち時間を伝える”It’s about a ten-minute wait. Is that okay?”
注文を取る”Are you ready to order?”
品切れを伝える”Sorry, that’s sold out today.”
アレルギーを確認する”I’m not sure. Let me check with the kitchen.”
会計の案内”Please pay at the register over there.”
レジ袋の確認”Do you need a bag?”
支払い方法の確認”How would you like to pay? Cash or card?”
免税の案内”Could I see your passport, please?”
チェックイン”May I have your passport, please?”
部屋のトラブル対応”I’m very sorry. I’ll send someone right away.”
聞き返す”I’m sorry, could you say that again?”

飲食店の英語は、どこでつまずく?

つまずくポイントは5つで、難易度も緊張度も同じではありません。

出迎えと席案内。 “Hi. How many people?” で十分です。“Would you like a table or the counter?”、“It’s about a ten-minute wait. Is that okay?”、“This way, please.” まで言えれば、入口の仕事はほぼ終わります。想定外はここで来ます。“Can we sit outside?”、“Do you have a high chair?”、“We have a stroller.” こう返されたときの正解は、無理に答えることではなく “Let me check. One moment, please.” と言って確認に行くことです。この一言があるだけで、答えられない質問が「答えられる質問」に変わります。

注文を取る。 “Are you ready to order?”、“Anything to drink?”、“Is that everything?”。これも短くて済みます。想定外は “What’s the difference between these two?” と “What do you recommend?” です。おすすめを聞かれたときは、指をさして “This one is very popular.” と言えば成立します。

料理を説明する。 完璧な説明はいりません。「何でできているか、どう調理したか、辛いかどうか」の3点だけで、ほとんどのお客様は納得します。“It’s grilled chicken with salt.”、“It’s cold noodles. You dip them in this sauce.”、“It’s a little spicy.” この型に単語を入れ替えるだけで、メニューのほぼ全部を説明できます。

アレルギーと原材料。 ここだけは他と扱いが違います。命に関わる可能性がある質問だからです。分からないときに絶対に言ってはいけないのは “Maybe it’s okay” です。正解は “I’m not sure. Let me check with the kitchen.” と言って、必ず確認してから戻ること。そして戻ったら “It contains egg and wheat.” のように、入っているものを名指しで伝えます。だしを使った料理は “The soup is made with fish stock, so it’s not vegetarian.” と言えば誤解が防げます。抜けない場合は正直に “I’m sorry, we can’t remove it. It’s already mixed in.” と伝えてください。曖昧に濁すより、はっきり断るほうが安全で、しかも英語としては簡単です。

お会計。 “Are you paying together or separately?”、“Please pay at the register over there.”、“Here’s your change and your receipt.”。飲食店の接客英語で最後に必要になるのはこの3つです。

レジの英語は、この4つで足りる

コンビニやスーパーのレジは、必要な英語がかなり限定されます。

レジ袋。 “Do you need a bag?” が最短で、どこでも通じます。有料なら “A bag is five yen. Would you like one?” と先に金額を言っておくと、会計後に揉めません。返事が “Yes/No” で終わらない場合もあります。“Two, please.”、“Do you have a bigger one?”、“Can you put the cold ones separately?” この3つを想定しておけば、たいてい間に合います。温めや箸も同じ型です。“Would you like this warmed up?”、“Do you need chopsticks?”

支払い方法。 “How would you like to pay? Cash or card?”、“Please insert your card.”、“Please tap here.”、“Please enter your PIN.” 使えない支払い方法があるときは “Sorry, we don’t take that card.” とだけ言えば通じます。理由の説明はいりません。

ポイントカード。 “Do you have a point card?” で足りますが、持っていない相手に “Would you like one?” と続けると説明が長くなります。忙しい時間帯なら “It’s for members only.” で切り上げて構いません。

免税。 “Are you shopping tax-free today?”、“Could I see your passport, please?”、“The tax-free counter is on the first floor.” 手続きのルールは変わることがあるので、金額の条件などは 観光庁の免税店サイト で最新の内容を確認し、自分の店の案内に合わせてください。英語で説明しようとせず、書面を指さして “Please fill this out.” と言うのが、実は一番早く終わります。

ホテルフロントの英語は、何を仕込む?

フロントは会話が長くなる分、想定外も増えます。仕込むのは3場面です。

チェックイン。 “May I have your passport, please?”、“Could you fill in this form?”、“Here’s your key. Your room is on the eighth floor.”、“Breakfast is on the second floor, from seven to ten.” 早く着いたお客様には “Check-in starts at three. We can keep your luggage until then.” が使えます。想定外は “Can we get a higher floor?” や “Is late check-out possible?”。ここでも “Let me check. One moment, please.” が効きます。

部屋のトラブル。 謝罪と行動をセットにするのが基本です。“I’m very sorry. I’ll send someone right away.”、“Someone will come up in about ten minutes.”、“We can move you to another room.” 原因を英語で説明しようとしないでください。何をするかだけ伝われば、お客様はそれで納得します。

道案内。 “Go out the main entrance and turn left.”、“It’s about five minutes on foot.”、“Take the Ginza line and get off at the third stop.” 説明が長くなりそうなら、途中で “Let me show you on the map.” と言って地図に切り替えてください。言葉を尽くすより速くて確実です。旅行者側から見た同じ場面は 旅行前に練習しておきたい英会話 にまとめてあります。

聞き取れなかったとき、何と言えばいい?

現場で一番役に立つのは、実はこの一言です。用意しておくのは2つで足ります。

  • “I’m sorry, could you say that again?”
  • “Could you speak a little more slowly, please?”

それでも分からなければ、“Could you show me?” や “Could you write it down?” と言って、指と紙に切り替えてください。注意点はひとつだけ。“What?” は聞き返しとしてはぶっきらぼうに響くので、“Sorry?” か “Pardon?” に置き換えます。

そして、これは現場の人ほど信じてくれないのですが、お客様はこちらが思っているよりずっと寛容です。海外から来た人は、日本語が通じない場所に自分から入ってきている自覚があります。聞き返されて怒る人はほとんどいません。多くの場合、ゆっくり言い直してくれるか、指をさして助けてくれます。恐れているのは、たいていお客様ではなく自分のほうです。

どうやってリハーサルする?

1回15分で回せます。手順はこうです。

  1. 明日のシフトで確実に起きる場面を1つ選ぶ(レジ袋、チェックイン、注文取りなど)
  2. 自分の一言を英語で書き出す
  3. お客様の返事を3つ書く。うち2つは想定外にする
  4. 往復のまま声に出す。返事役も自分で言う
  5. 録音して聞き返し、詰まった箇所だけもう一度

大事なのは4番です。自分のセリフだけを繰り返しても、本番で止まる場所は練習できません。相手の返事が入った状態でやってはじめて、立て直す練習になります。お金をかけずに続ける方法は 無料でできるスピーキング練習 に、一人で回す型は 一人でスピーキングを練習する方法 にまとめています。

返事役を自分で演じるのが難しければ、AIの会話相手を使う手もあります。Aploraなら「コンビニのレジで外国人のお客様が来た場面」と伝えるだけで、そのままお客様役として返してくれるので、想定外の返事に詰まる練習を何度でもやり直せます。シフト明けの深夜でも、相手を待たせる気まずさがありません。

よくある質問

接客英語はどれくらいで使えるようになりますか? 場面を絞れば数日で変わります。全部を一度に覚えようとするから終わらないだけで、自分の持ち場で毎日起きる3場面に絞れば、覚える量は驚くほど少なくなります。

発音が下手でも通じますか? 通じます。接客の会話は状況が限定されているので、レジの前で “bag” と言えば伝わります。発音より、短く言い切ることのほうが大事です。

丁寧に言おうとすると長くなって詰まります。 短くて構いません。“please” を付ければ十分に丁寧です。長い敬語表現を組み立てようとして黙ってしまうほうが、お客様を待たせます。

明日のシフトの前に、想定外の返事に一度だけ詰まっておきましょう。最初の会話は無料、ワンクリックでサインイン、フォームもカード登録も不要です。 話し始める

よくある質問

接客英語はフレーズを覚えるだけでは足りませんか?

足りません。決まった一言は覚えれば言えますが、現場で止まるのはお客様が想定外の返事をした直後だからです。フレーズ単体ではなく、こちらの一言とお客様の返事をセットにした往復のやり取りとして、声に出して練習してください。返事のパターンを3つ想定しておくだけで、固まる時間が大きく減ります。

「レジ袋はご利用ですか」は英語で何と言いますか?

"Do you need a bag?" が最も短く、どの店でも通じます。有料であることを先に伝えるなら "A bag is five yen. Would you like one?" と言えば、会計後のトラブルになりません。返事は "Yes" や "No" だけとは限らず、"Two, please" や "Do you have a bigger one?" と返ってくることもあるので、そこまで想定しておくと安心です。

アレルギーを聞かれて分からないとき、どう答えればいいですか?

推測で答えないでください。"I'm not sure. Let me check with the kitchen." と言って、必ず確認してから答えます。分からないまま "Maybe it's okay" と答えるのは、英語力の問題ではなく安全の問題です。厨房に確認して戻り、"It contains egg and wheat." のように、入っているものを名指しで伝えるのが最も確実です。

英語が聞き取れなかったとき、失礼にならない言い方はありますか?

"I'm sorry, could you say that again?" と "Could you speak a little more slowly, please?" の2つを用意しておけば十分です。"What?" は聞き返しとしては少しぶっきらぼうに響くので、"Sorry?" や "Pardon?" に置き換えてください。聞き返されて怒るお客様はほとんどおらず、多くの場合は言い直したり、指をさして助けてくれます。

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